アパレル業界の発展には工場がもっと評価される仕組みが必要だと思った話

デザイナー西尾さんやお客さんが実際に愛用し色落ちしたジーンズたち

先日、東京・中目黒で開催されていたブランド「Libertad (リベルタ)」さんの展示会にお邪魔をしてきました。

 

Libertadといえば、ぼくが学生の頃からお世話になっているジーンズブランド。

初めて記事を書かせて頂いたのは2016年と、なんと3年も前に遡ります。

 

デザイナーの西尾さんとはメールでのやりとりこそ何度もさせて頂いていますが、実際にお会いしたのは今回が初めて。

展示会終了後は、お食事をご一緒させて頂いたんです。

 

そこで、実際にブランドを運営されているからこそ思うアパレル業界の問題点について、色々とお話をお聞かせ頂きました。

その内容は、業界の現状はもっと多くの人に知ってもらうべきだな、と思ったのでこうして記事を書いています。

 

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アパレル業界の問題点は、作っても売れても工場の利益にならないこと

洋服を作る、ブランドを運営するとなれば、当然ながら服を縫製してくれる工場さんとの繋がりは切っても切ることができません。

どんなブランドでも、どこかしらの工場に縫製を依頼して商品を完成させています。

 

日本の工場が持つ技術力の高さは世界レベルで見てもかなりのもの。

「MADE IN JAPAN」という文字列は、日本の工場で作られた洋服の品質を担保する証にすらなっていますよね。

 

日本の工場は確かに高品質な洋服を作ってくれる。

しかし、その品質への評価は世間一般的にどこへ返っていくかというと、ブランド自体のものになっていくのが一般的ですよね。

 

実際、西尾さんにお話を聞くまではぼくもそう思っていました。

「あのブランドの洋服は品質がいい」と、思い浮かぶ具体的なブランド名もいくつかあって。

 

結局、工場さんがどれだけ素晴らしい出来の商品を作り上げても、その評価は全てブランド側にしか返っていかないんです。

 

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スーパーの野菜みたく「製造者の顔が見える仕組み」ができるといい

Libertadの新作ジーンズたち

素晴らしい品質の洋服を作り上げても、評価はブランドにしか返っていかない。

それはどういうことかというと、結局のところ工場さんの技術自体が大きく評価される機会は非常に少ないということです。

 

だから、どれだけ作っても工場さんの利益が大きく増えることはあまりない。

量をこなせば話は別ですが、技術が評価されて賃金が上がる、ということはなかなかないのが現状だそう。

 

地方の工場の場合は長いことそんな状況が続いているため、世界的ブランドからオーダーが入っても経営的には自転車操業が続いているばかりなんだとか。

 

そんな状況を解決するにはどうすればいいのか。

解決策のひとつとして、アパレル業界でもスーパーで売っている野菜のように、製造者の顔が見える仕組みが普及していくべきなのではないか、と思いました。

 

野菜の場合は「食べるものをどんな人が作っているのか知らないのは怖い」といった不信感を拭うために広がったものだと思います。

洋服の場合は「この素晴らしい洋服を着れるのは、この人たちのお陰だ」と、もっと消費者にまで認知してもらう必要がある。

 

結果的にそれが業界内だけに止まらない、世間一般的な工場さんへの評価になっていく。

つまり、工場さん自体が影響力を持つ仕組みへと繋がっていくのではないかと思っています。

 

デザインから生産まで全ての工程を自ら行う「ファクトリーブランド」と呼ばれるブランドを運営している工場さんも存在します。

そういったところが、より影響力を持って独立できる仕組みを、技術が評価され世に広まっていく仕組みを作った方がいい。

 

現状、品質に対する評価のほとんどをブランド側が独り占めして受け取っています。

短期的には、ブランドにとって都合のいい話なのかもしれません。

 

それでも長い目で見たときに、それが本当に自分たちのためになるかと言えば疑問です。

なんせ工場側は自転車操業で苦しい状況が続けば、極端に言えば潰れてしまう可能性だってある。

いつまで縫製をお願いできるかも分かりません。

 

職人さんの手作業で加工が施された圧巻のジーンズたち

品質に対する評価を独り占めするブランドが多い中、工場さんへのリスペクトを示しながら運営されているのが西尾さんのブランド「Libertad」です。

西尾さんとお話をしていても、ブランドのページにも、必ず工場さんの、職人さんのお話が出てきます。

 

ブランド側だけでなく、工場側にも評価が行き届く形で洋服が作られる。

長い目で見たときに、どちらがよりお互いにとって良い状況になっていくかといえば、確実に工場さんも評価される形の方が健全だと思うんです。

 

ぼく自身がブランドを運営している訳ではないので、アパレル業界が抱えているこうした問題を今この瞬間から大きく変えていくことは難しいと思います。

しかしまずは、こういった素敵な運営の仕方をされているブランドが存在していることから、伝えていけたらと思いこの記事を書きました。

 

洋服を着るという、日常生活に密着した行為。

着るものを選ぶそのときに、少しでもブランドの背景にある工場さんの状況を考えて頂けるきっかけになれば嬉しいです。

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いわはし

いわはし

もうすぐ30歳になるので、うかうかしていられません。

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