オーナーさんやバイヤーさんが海外買い付けへ行って仕入れた古着を販売するのが、個人経営の古着屋さん。
都内はもちろん、全国各所にそういったお洒落で素敵な雰囲気の古着屋さんはたくさんあります。
古着屋さんへ行って服を買うのは、もちろん大好き。
ただ、それと同じくらいぼくは、何でもないリサイクルショップへ行くのも好きなんです。
UNIQLOの服から、ヴィンテージの古着まで色々な洋服が同じお店の中でひしめき合っている。
そのカオスな空間の中から、自分が好きなものやピンと来たものを見つける作業が好き。
自分の知識や目利きのレベルも求められるし、苦労をしてわざわざ見つけるという点にもお宝探し的なワクワクを感じているはず。
その苦労を買い付けに行った人のセンスで取っ払ってくれている場所が、街の素敵な古着屋さんだとぼくは思っています。
いわばリサイクルショップで買う洋服は「古着の古着」であることも多々あるので、その分だけ販売価格は安く。
似たアイテムでも古着屋さんの方が販売価格は高いですが、それは服そのものというよりも、探す苦労をなくしてくれた方に喜んで払うお金。
買い付けに行った方のセンスに払うお金だと思っているので、また別の話だと思っています。
ネット通販やフリマアプリを使えば簡単に買えてしまうけれど、あえて中古のレコード屋さんに行ってお目当のそれを探す。
最近はそんなことをするのも好きなのですが、ぼくにとって好きな服やレコードをわざわざ探すその行為は、苦労じゃなくて楽しみなのかもしれません。
自由が丘の「BINGO」で見つけた1,690円の不思議な古着シャツ
東京に引っ越して早くも9ヶ月が経とうとしているのですが、まだまだ足を踏み入れたことのない地域がたくさんあります。
地図で見る限りとても小さい東京というところ。実際に住んでみると知らないだけで、魅力を感じる場所はたくさん。
東横線に乗って自由が丘駅で降りてみました。
中目黒までは行ったことがあっても、その先には足を踏み入れたことがなかったので初挑戦。
タモリ倶楽部であいみょんさんが「自由が丘のブックオフで人生初の官能小説を買った」と話していたことを覚えていました。
野性爆弾のザ・ワールドチャネリングで、セキルバーグカフェに何度も戻る光景を覚えていました。
自由が丘ってどんな街なんだろう、と思いながら駅周辺を歩いてみると、大人の女性が多い街でした。
メインストリートに面しているお店も女性の洋服を売っているところがたくさん。
調べてみると、男性服を売っているお店は少ないようでした。
そんな中で華やかな通りを明らかに抜けた先にポツンと「BINGO」があることを地図で知る。
BINGOとは、ブックオフグループのリサイクル古着屋さんです。
お客さんから買い取った洋服を販売するタイプのお店。
そこにふらっと入って「何かいい服はないかな」と店内に入る。
普段は行かない街だから、せっかくだし普段は着ないような服と出会いたいな、なんて思っていました。
いつもとは少し違う視点から、自分が好きな服やその系統について思ってみる。
そうすると、自由が丘という普段は行かない街だからこそ、違う視点で服を見ていたからこそ出会えた1着を購入しました。
くたびれて色味も薄れたレーヨン生地。
初めて目にするブランド名と、劣化で文字が消えて真っ白になってしまっている内タグの洗濯表記。
ブランドの洋服ってどうしてもネームバリューで選んでしまうところがあります。
海外のブランドにはそういった先入観や知識が一切ないので、服そのものだけを見て好きか嫌いかを判断できるところが面白い。
レーヨン生地といえば、ツヤとハリを持ちながら、重力に素直で地面に向かってテロっと落ちるその雰囲気が特徴的。
風通しが良く、肌触りも少しひんやりとしているので、ボーリングシャツなどをはじめとして夏に活躍する半袖シャツの生地に多く採用されています。
そんなレーヨン生地を採用して、着丈は短くボーリングシャツや開襟シャツの王道に沿っておきながら、身幅を広めに設計した変化球のシルエット。
ブランドタグをかろうじて読み取り調べてみると、どうやらデザイナーズブランドの洋服だったみたいです。
そうじゃないと、こんなことはしないですよね、と思いながら納得しました。
裾にはスリットが入っていて、ゆるい雰囲気も抜群。
微妙に後ろの方が長くなっていたりして、何だか今っぽいデザインだなと思っていました。
2019年の夏に流行しそうな半袖シャツのルーツでは
最近はZOZOTOWNで流行っている服を眺めたり、20歳前後の男性をターゲットに販売されている雑誌を買ってみたり。
自分が着る訳ではないですが、新しいものや流行に対して少し関心を持っているところでした。
ぼくは今年で25歳になるのですが、これくらいになるともう10代後半〜22歳くらいの人たちとは全然違った感覚で洋服を選んでいる自覚があります。
女子高生がどうして、あそこまで熱心に列を作ってタピオカの入ったジュースを飲みたいのか、お店をハシゴして味の違いを飲み比べするのか。
その感覚はもう本当に分かりません。
分からなくてもいいのかもしれませんが、同じ人間でありながらも別の生き物な気がして不思議で、とても面白く興味があります。
襟が開いた作りで、着丈は短め。
身幅は広くやや変則的なシルエットと、胸元についた大きな、これまた変則的で大きなポケット。
裾にはスリットが入っていて、どこかゆるい雰囲気を持っている。
こんな特徴が、今色々な雑誌やお店で見かける半袖シャツにそっくりだと思いました。
同時にこの辺りの古着が、今年の夏に流行りそうなそれらのシャツが生まれるルーツになっているのではないかとも。
洋服でも音楽でも何にしても、今の時代に全く新しいものが生まれることってそう多くはないと思います。
ほとんどは過去にあったものを今の技術で再現したり、時代に合わせて解釈を行う過程で生み出されるもの。
今年の夏には、流行に敏感な古着屋さんにもこういった類のシャツが多く並ぶのかな、と思っています。
特に深くは考えていませんでしたが、こうやって何の変哲もないリサイクルショップで古着を探してみたりすると、思わぬ発見があって面白かったりします。
古着屋さんも流行に合わせて、そのルーツとなっている服を海外から仕入れて売ることが多いですが、リサイクルショップに並ぶ服はあくまでお客さんが売ったもの。
そこに並んだ洋服には若い人に人気のブランドや古着屋さんとは違い、流行の要素は少なめです。
そんな中から偶然にも、これからの時期に流行りそうなものを見つけてしまう面白さ。
古着屋さんで買い付け担当の方は日本からの「今年はこれが流行りそうだ」という情報を元に、まさに今こういったシャツを夏に向け用意している最中かもしれません。
もちろん、とても流行に詳しい方が経営するお店なら、もうとっくに並んでいたりするのかもしれません。
何だか深そうなオチを付けようと思ったのですが、この先はあまり思い浮かびませんでした。
それよりも、古着屋さんでならおおよそ5,000円以上でも売れそうなこのシャツを1,690円で買ったことを、掘り出し物記事としてここに書いている。
1年以上は着るだろうけれど、飽きた頃にどこかで売るかもしれない。
そうだとしたら買った元値が安かったことを書いているので、それより高く売るのは悪者っぽくなるな、と微妙に後悔をしています。
そこまでこのブログは有名じゃないだろう、と思いながらも書いてみました。
いずれにせよ現時点で売るつもりは全くないので、好きに着たいと思っています。
こういう素敵な掘り出し物を見つけたときは上のような理由から記事にしないだけで、実は色々と着ていたりします。
この記事を読んで下さった皆さんに面白いと思って頂けたら、また掘り出し物に出会えた機会にこういう記事を書いてみようかな、と思います。
いわはし
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