着用歴3年4ヶ月。憧れの先輩を追って手にしたジーンズ界の王様と

あの企画が久々に帰ってきました。”俺らのジーンズ色落ち特集”です。

普段からぼくのブログを読んで下さっているジーンズマニアの方、あるいは友達に「あなたの相棒を紹介させて下さい」とお願いして記事を書くこの企画。

 

周りに服好きな友達がたくさんいればいいのですが、そもそもぼくには友達が少なく・・・。

普段から遊ぶ友達って本当に5人いるかいないかなのですが、その中でジーンズを育てている人は皆無に等しいんです。

 

我ながら面白い企画を考えたと思ったけど、あまりの人脈の狭さに2回で終わりかな・・・と思っていたそのとき。

ぼくが学生の頃から書いているブログ「いわタワー」を始めて数年の頃から、ずっと記事を読んで下さっている、きゅーたろーさんからTwitterでご連絡を頂きました。

 

いやあもう・・・本当に嬉しいです。

繰り返しになりますが本当に友達の少ないぼくは、こうやってブログを通じて出会えた方と繋がりながらこの企画を続けていきたいと強く思っています。

もしこの記事を読んで下さっていて、かつ「記事ネタにさせてやってもいいよ」とお考えの方がいらっしゃったら、SNSやお問い合わせフォームからぜひご連絡ください。

 

ブランドとか、ジーンズに関する知識とか、そんなものは全く関係も必要もなくて、ご自身で愛情を込めて育てているジーンズがあればそれだけでもう、大歓迎です。

こうやって偉そうなことを言ってるぼくですが、ジーンズに関する知識なんてまだまだ浅いんです・・・。でもそんなのは関係なくて、愛情だけあればそれでいいんです。

 

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Levi’s VINTAGE CLOTHING 501XX 1947 Model

今回ご紹介させて頂くきゅーたろーさんの相棒は、ジーンズの王様ことLevi’sが過去のコレクションを復刻し販売するレーベル「LEVI’S VINTAGE CLOTHING」より、501XXの1947年モデルです。

通称LVC(エルブイシー)と呼ばれるこのレーベルが作るジーンズには、当然ながら他のレプリカブランドが作るジーンズにはない異様な迫力があります。

 

そりゃあLevi’sが自ら復刻モデルを作っているから、と言われてしまえばそれまでですが、何かこう・・・ザ・本物感があるんです。

こうしてキーボードを叩きながら、自分のボキャブラリーの少なさに驚いています。

 

ジーンズに興味を持った人なら一度は目を通すであろう、いわば最終到達地と言っても過言ではないかもしれません。

ぼくも学生の頃、LVCに憧れて新宿のお店に足を運びました。

 

結局、当時は定価で買えるだけのお金がなかったのでアルバイト先のブランド古着屋にて501XXを1本購入したことを覚えています。

バリバリに格好良くてリアルな色落ち加工。それでいて税込み1,600円と破格だったことに一瞬だけ疑問を覚えましたが、どうしても欲しかったので即購入。

 

家に帰って全身鏡の前で履き、気に入りすぎて色々なポージングを決め込みながら自分に酔っていたときでした。ヤンキー座りをしてみると、股下に2cmくらいの大きな穴を発見。

ああ・・・これのせいで安かったんだな、と全てを悟りました。せめて「破れあり」と一言、注意書きが欲しかった。

 

つまりその色落ちは加工ではなく、濃紺の状態から履き古した1本だったという訳ですが、LVCの加工技術はその見分けがつかないくらいにはリアルなんです。

新品で買っていきなり、何十年も履き古したかのような表情のジーンズに出会うことができてしまう。

 

そんなリアルな加工も魅力のひとつですが、それを超える最大の魅力とも言えるのが、贅沢にも古いモデルのジーンズを真っ紺色の状態で手に入れることができるということです。

例えば501XXの大戦モデル(第二次世界大戦の最中に販売されていたものを指す)が欲しくて探すとなれば、古着屋さんを巡るしか方法はありません。

それも70年以上前のジーンズになるので、ゴリゴリのヴィンテージ。

数十万円を出さないと手に入らないことはおろか、そのほとんどが色落ちを繰り返し水色に近い色味になっています。

 

一方でLVCでは、そんな貴重な何十年も前のジーンズを自らの手でイチから育て上げていくことができてしまう。

古着には古着の魅力が、LVCにはLVCの魅力があるんですね。どちらにもそれぞれ違った種類のロマンが、それはもうたくさん詰まっています。

 

アメリカンスタイルで履き込み育てた硬派で男前な色落ち

そんなLVCの数ある復刻コレクションの中から今回ご紹介するのは、きゅーたろーさんが育て続けている「501XX 1947 Model」

Levi’sの公式ホームページより引用した先ほどの画像がリジッド状態のもの。そこから3年4ヶ月の月日と11回の洗濯を経て現れたこの表情。

ジーンズの本場、アメリカの履き方を取り入れて時々、洗濯後には乾燥機も使われるそうです。その回数は今までに8回。

 

「糊を落とすまでの期間で股下付近にシワが入ってしまったことがショックだった」というきゅーたろーさん。

わかります・・・まさに男の急所付近ですよね。

ぼくのPETIT STANDARDも最初の半年、糊を落とさずリジッドのまま履いていた時期、全く同じ場所に横ジワがくっきりと刻まれてしまいました。

 

ぼくの相棒 PETIT STANDARD

これ、どうしてなんでしょうかね?きゅーたろーさんとぼくのライフスタイルには、少し似通った部分があるのかもしれません。

 

ぼくのPETIT STANDARDは最近になってようやく太もも部分の縦落ちを楽しめるようになった頃ですが、着用歴3年以上のLVCには貫禄がありますね。

お仕事中もこちらの1本を履かれているとのことで、足元には革靴を持ってくるのが定番コンビ。

 

なかなか進まない太もも部分の色落ちをより楽しむため、そこで洗った手を拭いたりしながらあえて汚すような履き方もされているとのことでした。

今でこそ色落ちを楽しむことが魅力のひとつになっているジーンズですが、元々は作業服として生まれたアイテム。汚れることなんて気にしないのが正しい履き方です。

 

後ろから見てみると・・・これまたワイルドな表情をしていて。

Levi’sといえば、なカモメステッチを囲んで広がる色落ち。自転車に乗る機会が多かったり、座り作業が多かったりするとこの部分は比較的色落ちが進みやすくて。

ぼくの相棒、PETIT STANDARDはお尻部分の色落ちが進めどステッチをはじめとした他要素の楽しみはありませんが、1947年モデルの501XXは違います。

 

写真をご覧頂ければわかるように、ポケットの上部分にそれぞれ白く小さい跡が存在していますよね。実はこれが1947年モデルならではの楽しみで、隠しリベットによるもの。

リベットとはジーンズにポケットを縫い合わせた場合などに使う金属のパーツで、それを上から打ち込むことで接合部分の強度を上げることを目的としています。

 

最近のジーンズでは股下やフロントポケット部分にのみ採用されることの多いリベットですが、501XXの1947年モデルではバックポケットにもそれがあって。

しかも”隠しリベット”という形で。

というのもバックポケットにリベットを採用すると強度が上がることは確かなのですが、そもそも金属なのでそれを履いて座ると椅子を傷つけたりする可能性が大いにあります。

 

そういった損傷を避けるため、でもパーツの強度は上げるためジーンズの表面には現れないよう配置されたのが隠しリベット。

ちゃんと理由があって普及したこのスタイルですが、穿き込むとその部分の生地が擦れて魅力的な表情を魅せてくれることから、実用性とは別のところでも人気を博しています。

 

その先に待つは、ヒゲ(表面/足の付け根付近)と並んで色落ちを最も感じさせてくれるひざ裏のハチノス。

紺色のボディーに「これでもか」と太く逞しいシワを刻み込んでいます。ぼくの相棒であるPETIT STANDARDのハチノスに比べ、やはり男らしい印象。

フランス生まれ、パリジャンの彼とはまた違った魅力を持っていますね。PETIT STANDARDが草食系男子だとしたら、こちらは完全に肉食系。

 

ぼくたち人間だって、人それぞれ違った魅力を持っています。それをお互いが真似できないように、ジーンズの世界においても全く同じことが言えますね。

憧れの誰かになろうとするんじゃなくて、自分が持っている魅力に気付いて、それを武器に戦っていくことが大事。ないものねだりをしたって仕方ないんだから。

大切なことは全て、ジーンズが教えてくれます。

 

横から見ると、縫い目に沿って縦一線にアタリが入っていることも見て取れます。これも洗濯後の乾燥機を取り入れたアメリカンスタイルあってこそ。

靴がお好きだというきゅーたろーさんのこだわりは、軽くロールアップしながら裾のアタリと赤耳を露わにし、そこに革靴を合わせることだそう。

 

もう、ちょっと想像しただけでもダンディーなアメリカンが頭に浮かびます。

シャツをタックインしてベストを羽織って、ネクタイを締めたりして・・・ぼくがザ・アメカジなコーディネートを組むとしたら、渋さ全快で仕上げてみたいものです。

 

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おしゃれな先輩に憧れて手にした相棒と、3年4ヶ月

学生時代はあまり洋服に詳しくなかったというきゅーたろーさん。「おしゃれになりたい」と思ったことをきっかけに思い切ってアパレルのアルバイトを始められたそうです。

そこで出会った服好きの先輩がジーンズを育てている姿に憧れて、当時とりあえず知っていたLevi’sのお店へ行き、こちらの501XX 1947年モデルを購入。

それから現在に至るまで、ずっとこの相棒を穿き育て続けられているとのことでした。

 

当時は自分の好きな服装を考慮せずにこの1本を選んだため、今となってはコーディネートを組むにあたって手持ちのトップスとの合わせづらさを感じることもあるそう。

少し緩めのサイジングで相棒を選んだことにも当時の無知さを感じるそうですが、それも今となっては、自分の不器用な人間性が反映されているかのようでお気に入りに。

 

どれだけ時が経っても、人間の根本的な部分って絶対に変わらないものだとぼくは思っていて。

きゅーたろーさんも、当時の自分による相棒の選び方に少しの疑問を抱きつつも、根本にある”好き”の要因はきっと変わっていない。

だからこそ、この1本を3年以上も愛し続けられているのだと思います。

 

こういう話を聞くのって、ぼくは何より大好きです。その人がどうして”それ”を選んだのか。そこにはいつだってストーリーが隠れています。

掘り下げていくと少しだけ人となりだったり、頭の中を覗けるような気がして、絶対に自分と違うから面白い。

 

ジーンズってそれぞれを作るために使われている素材、織り方、染め方などなど・・・その全てが違っていて。

手にした人によって穿く頻度も方法も、過ごすライフスタイルも、洗い方から干し方まで、何もかもが違っていて。

様々な要因が絡み合って、世界にひとつだけのジーンズが育っていきます。ナンバーワンなんてどこにも存在しなくて、それぞれがオンリーワン。

 

まだまだ自身の相棒、PETIT STANDARDの途中経過しか知らないぼくは、今回もこの企画を通じてまた新しい世界に触れることができました。

みんなちがって、みんないい。これからも、もっとたくさんのジーンズとその色落ちに出会っていきたいです。

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いわはし

いわはし

もうすぐ30歳になるので、うかうかしていられません。

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