TOWER REPORTS

足元に実家の安心感。どんな服装も受け入れる、US Navyのサービスシューズ

昨日、2年近く住んでいたアパートの部屋を引き渡して、台風が接近するまでの時間で街の古着屋さんをぶらぶらしてきました。

初めて一人暮らしをした街、柏市。何をするにしても電車に乗ってどこかへ行く必要がない、とても便利な街。

 

駅前の高島屋には有名なセレクトショップがたくさん。少し歩けばここにしかない個性のあるセレクトショップがまた、たくさん。古着屋さんも多く。

 

人の服装って、住む街の影響を受けるものだと思っています。柏に住んでみてぼくは、間違いなく以前よりも古着に興味を持つようになりました。

自宅から徒歩数分の距離に、たくさんの古着屋さんがある。そんな環境に身を置いていれば、そりゃあ古着にも興味を持ちます。

 

その中でも、ぼくに古着の知識をたくさん与えてくれた店員さんとお店は主にふたつあって。

お店に関してはまた記事を書いてみたいと思っていますが、部屋を明け渡した今、帰る場所が都内になったぼくは、間違いなく来る回数が減るであろう柏の古着屋さんを巡って買い物がしたくて。

 

無理をして何かを買う必要もないし、今までに買ったものもあるんだけど、何かとイベントがあるとぼくは、それを理由にモノを買いたくなってしまうんですね。

今回は、これから都内で暮らすぼくが柏から連れていく相棒探しのような。大袈裟ですが、そんな気持ちで好きなお店に足を運んだら、素敵な出会いがありました。

 

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89年生まれ。5つ年上のUS Navy サービスシューズ

US Navyのサービスシューズ。ずっと前からぼくは、革靴がもう一足欲しくて。

特に欲しかったのはRED WINGのポストマンシューズ。ただ新品の綺麗すぎる雰囲気は苦手だから、古着屋さんで探していました。

しかしずっと自分に合うサイズのそれが見つからないまま。おしゃれもそうですが、楽を優先するぼくはスニーカーやスリッポンを多く履いていて。

 

革靴も持っていることには、持っています。成人式の後で買った、MIHARA YASUHIROのもの。

実際に履いてみると見た目よりも重厚感があって好きなのですが、ここ最近はあまり出番がなく。

 

黒といえば黒なのですが、やや緑に近い黒。

ケアしながらクリームを塗り込んで理想の色味に近づけていく楽しさもありそうですが、ぼくはやっぱり新品でいいモノを買うと大切にし過ぎてしまうんですよね。

大切にし過ぎて全然履けないという、服や靴としてあってはいけないことが起こる。

 

その点、古着で買ったものは最初から使用感がある分、最初からガンガン履くことができて。

MIHARA YASUHIROのシューズも履きますが、それよりもっと黒くて、今の気分に合っているもの。どんな服とも相性のいい革靴が欲しい。

そう思って、ポストマンシューズを探していたのでした。

 

ただ、今回購入したのはサービスシューズ。

見た目の具体的な違いを挙げれば、ポストマンシューズは見た目も紐も平べったく、やや野暮ったい印象。その名の通り、郵便局員の方に配給されるシューズ。

サービスシューズは、US Navy (アメリカ海軍)に支給されるシューズのこと。ポストマンシューズよりもツヤがあって、ややドレスシューズよりのスッキリとした見た目をしています。

 

そこには、実際に履くまでは伝わりにくい魅力があった

ぼくが好きな柏の古着屋さん。特に探しているものがあるでもなく、いつもふらっとお店に入っては、並んでいる洋服を見て格好いいと思ったものを手に取って。

「ああ、これ格好いいな」なんて思っていると、とても自然に、その服に関する知識をぼくに伝えてくれる店員さん。

そこには押し売り感なんて一切なくて、単純に店員さんの古着愛が伝わってきます。とにかく詳しいし、面白くて、手に取った服の背景を知ったぼくはもっとそれが気になって。

 

いつもそうやって、色々な服に関してたくさんのお話をして頂きながら、毎回1時間くらいはお店にいる気がしています。

気になった服は試着してみる。ただ見ていても格好いいと思ったけれど、着てみるともっとそう思う。

 

その姿を見ながら、服のルーツ、生まれた理由を教えてくれる店員さん。古着は基本的に、どの服にも明確な”生まれてきた理由”がある。

聞けば聞くほど奥深さを知って、欲しくなる。ただ見た目が格好いいだけの服じゃ何とも思わなくて、ぼくはもっと意味や理由を知ってみたいタイプです。

 

ずっとポストマンシューズを探していたぼくは、お店に並べられたサービスシューズに目を向ける。

素人のぼくからすれば一見、スーツに合わせて履くようなドレスシューズにも少し見える。けど、そこまでフォーマルな気もしない。

 

「履いてみますか?」と言って頂き、履いてみる。

すると、そこには今までぼくが気付かなかった世界がありました。

 

こういった類の靴は、履くのが難しいものだと思っていた。

もっとコーディネートを組むのが上手な人が、さらっと足元に組み込んで全体のバランスを整えるためのものだと思っていました。

 

しかしそれは逆でした。むしろ、この靴は究極のバランサーであり、マルチプレイヤー。

どんなコーディネートに合わせても抜群に格好良く引き締めてくれる、主張し過ぎない存在感。

 

最近になって洋服を1着ずつの単体でなく、コーディネートとして全体で見て楽しむことを覚えたいと思い始めたぼくは、ハッとしました。

こいつこそ、コーディネートに”欠かせない脇役”をの役目を担ってくれるのではないか。

 

MIHARA YASUHIROのそれは、言うなれば主役級の存在感を持っている。

洋服を単体で楽しんでいたぼくは、好きな服を好きなように買っていて。

 

それはそれで楽しいのですが、いざコーディネートを組むとなると、それぞれが主役なので全体のバランスを上手く取ることって難しくて。

だから、ぼくはコーディネートを組むことって、正直そんなに得意ではありませんでした。

 

一方でこのサービスシューズは、パッと見ただけじゃピンと来なかった。

「確かに格好いいけれど、買うかと言われたら、うーん・・・」

履くまでは、そう思っていました。

 

それも店員さんの一言をきっかけに履いてみると、そこで初めて気付いた安心感。

たまにありますよね、着たり履いたりするまではその魅力に一切気付くことができない洋服や靴って。

 

思ったんです。そういう服こそ、脇役なのではないか。単体では決して目立ちはしないけれど、全体で見るコーディネートには絶対に必要不可欠な脇役。縁の下の力持ち。

 

主役級の存在感を誇る服は、パッと見で格好いいと思えるから着たくなる。

でも、それらだけを寄せ集めてもコーディネートを上手く組むことって非常に難しいと思うんです。

 

ジーンズだって、スラックスだって、チノパンだって。シルエットも問わず、どんなボトムスとも相性がいいマルチプレイヤー。

印象的だったのが、店員さんが仰っていた「コーディネートを組んで靴を履くとき、ポストマンシューズじゃ「違う」と思って、サービスシューズに履き替えることもある」という一言。

 

ポストマンシューズは太いシルエットのデニムやチノパンとなら確かに相性はいい。それでも、コーディネートで遊びたいと思ったならサービスシューズの方が安心感がある。

コーディネートを選ばない、縁の下の力持ち。

 

そう言われてみて、確かにぼくはポストマンシューズを履くとしてもボトムスにはワイドシルエットのそれを持ってくるイメージしか浮かんだことがありませんでした。

一方でサービスシューズを初めて履いたそのとき、ボトムスのシルエットがどうであれ綺麗に納めてくれているイメージが浮かんだのです。

 

実際に履くまでは伝わりづらいけれど、確かにそこにあるサービスシューズの魅力。これは、コーディネートの幅を一気に広げてくれそうです。

どんな服を合わせに行っても、許し受け入れてくれる。そんな実家さながらの安心感を、コーディネートにおいて感じさせてくれる。

サービスシューズって、そんな存在なのかもしれません。

 

 

さすが、軍モノな耐久性。ガラスレザーにラバーソールでガンガン履ける

細めの紐に、ドレスシューズのような見た目。上品な紳士が履いていそうな雰囲気ですが、何しろこれは”US Navy”ことアメリカ海軍の支給品。

軍人の履く靴がひ弱じゃ困ってしまいます。今日まで軍モノ古着が支持され続けている理由は、古くなっても衰えない強靭な耐久性にも、きっとあるはず。

 

ツヤツヤのボディーは、カーフレザーに加工を施した”ガラスレザー”

Dr.Martensにも採用されていることでお馴染みのガラスレザー。牛革にクロム鞣しでコーティングを行ったレザーを指します。

 

本革ですが雨にも強いのが魅力的。もちろんケアをしてあげる必要もありますが、こいつはなんせ海軍が実際に履いていたシューズ。

ちょっとやそっとの濡れはさほど気にする必要もなさそうです。

 

サービスシューズって、年代によってソールの素材が異なるらしく。

40年代だったり、かなり古いものとなればソールも本革。それだけ重みと、今手に入れるとなれば価格も高くなります。

 

一方でぼくが購入した89年製のサービスシューズは、ソールがラバー(ゴム)になっていて。

この年代のシューズは手軽な価格で手に入る上、ラバーソールなのでガラスレザーのボディーも相まって、やっぱり雨の日でも心配なく履けるのが大きなメリット。

ただ、ちょっと滑りそうなのでそこだけ注意が必要かもしれません。

 

裏もそうですが、後ろから見てもソールの削れはそこまでなく。状態もなかなかいいのが嬉しい。

およそ30年前に作られてこの状態なんだから、これからガンガン履いても心配はなさそうです。やっぱり軍モノの耐久性って並みじゃない。すごい安心感。

 

実はずっと前にヤ○オクでフローシャイムの、ポストマンシューズともサービスシューズとも、サドルシューズともつかないシューズを4,000円ちょっとの安さで落札したことがありました。

届いた瞬間からレースホール付近における縫いのほつれが気になっていたのですが、結局それは半年もしないくらいで処分してしまったんです。

 

その話も店員さんにしてみると、フローシャイムは80年代に買収(どこの企業かも教えて頂いたのですが、忘れてしまいました・・・)されて以降、途端に品質が落ちたらしく。

恐らくその時期のものを買ってしまったから、すぐにダメになったのではないか?と仰っていました。

 

古着好きの間で人気が高いのは”フローシャイム インペリアル”だということも。店員さん、本当に古着に詳しくてお話を聞いているだけでも楽しいです。

 

その点、US Navyのサービスシューズは30年前のアイテムにも関わらず、縫いもかなりしっかりしていて安心感しかありません。

これは、古着を好きな人が軍モノを愛する理由もよく分かりました。

 

国民の税金を使って作られる軍モノのアイテムは、それなりにお金を使っているだけあって耐久性にも長けていて。

また、製造された年代や型番、手がけたメーカー等を記載する義務 (ミルスペック)があるらしく、正真正銘のそれであるこのシューズにも記載がありました。

CLARKSVILLE FTWR社製。こういうのも見ていると、改めて”本物感”が伝わってきてワクワクしますね。

 

状態も良く、ゴールデンサイズのポストマンシューズともなれば、都内の高いお店なら12,000〜15,000円くらいはしそうなもの。

たまに、同じお店に居合わせた、都内から来たであろう方々の会話が聞こえてくると、その大体はこう驚かれています。

 

「これがこの値段で買えちゃうの?都内で買うのがバカバカしくなってくるな」

 

都心を外れているけれど、古着屋さんがたくさんある街、柏。

そういった街のお店って、大体は都内よりも販売価格が安いんですよね。

ぼくは行ったことがないけれど、町田にも古着屋さんはたくさんあるそうで、都心部よりも安いらしく。きっとそれと同じこと。

 

とても好きな古着屋さん”AEUGO”にて、税込み9,600円で購入できました。

これからガンガン履いていけそうなUS Navyのサービスシューズ。大切にしていきたいと思います。

 

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革靴だけは、少しお金を出してでも良質なものを買った方がいい

ぼくは常々思っているのですが、革靴だけは少しお金を出してでも良質なものを買った方が絶対にいい。

なぜなら、例えばボトムスの定番である黒スキニーだったりは安いものを穿いていても周りから見て「あれは安物だ」とバレにくいですが、革靴はそうじゃないからです。

 

革靴は、質がいいものとそうでないものの判断が、パッと見ですぐにできてしまう。だから、少しお金を出してでも良質なものを選んでおく必要がある。

 

よく「お洒落は足元から」なんて言いますが、あれは本当。

もっと言えば、靴さえいいものを履いていれば、他のアイテムがそこそこだってトータルで全身を見れば格好良く映るもの。

 

今回ぼくが購入したサービスシューズは古着屋さんで見つけた一点モノ。自分に合ったサイズのそれを見つけるには根気が必要です。

誰もが簡単に購入することができ、かつ革靴の大定番としてはDr.Martens (ドクターマーチン)の3ホールシューズをおすすめ。

 

サービスシューズとはまた少し違った風貌ですが、こちらもコーディネートの印象をぐっと引き締めてくれる人気の革靴。

「カジュアル寄りな服装が好き。でも足元にはスニーカーじゃなくて革靴を合わせたい」

そんな要望をしっかり満たしてくれる、とても優秀な革靴です。

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いわはし

もうすぐ30歳になるので、うかうかしていられません。