ダメ人間なら必ずファンになってしまうバンド、トリプルファイヤー。

11月16日。ロックバンド、トリプルファイヤーのワンマンライブに参加しようと恵比寿リキッドルームへ足を運んだ。

ボーカル・吉田さんがバラエティ番組『タモリ倶楽部』に出演したことをきっかけに注目を集めているトリプルファイヤー。

リキッドルームで行われたライブでも、登場しただけで会場に笑いを起こす天才的な才能の持ち主だ。

けれど、本当に注目すべきはそんな面白い一面だけではない。

ぼくらが本当に注目すべきなのは、トリプルファイヤーが持つロックバンド史上最大級の『音楽で人々にメッセージを伝える力』である。

 

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無法地帯と化したリキッドルーム

音楽が大好きだと自負しているぼくは、小学生の頃からジャンルを問わず様々なバンドの音楽に夢中になってきた。

今までに集めたCDは1,000枚以上にも及び、好きなバンドのライブには積極的に足を運んで。

 

トリプルファイヤーのライブに参加したのは今回のリキッドルームが初めてだった。

客席にはよく見るライブハウスとはまた違い、老若男女を問わず多くの人々でごった返すやや異様な光景が広がっている。

それぞれが独自のリズムに乗ってトリプルファイヤーの音楽を楽しむ。首を振る人もいれば体を揺らす人も、ただ真っ直ぐに立って静観する人も。

満員のライブハウスにおいても、すぐ横にいる人を気にする必要なんてまるでないかのように自由な雰囲気が充満していく。

そんな雰囲気を作り出しているのは間違いなくステージに立つトリプルファイヤーのメンバーだ。

バンドのライブと言えば、メンバーが笑顔で客席にいるファンを眺める光景を想像するかもしれない。

しかしトリプルファイヤーはその通りでは全くない。

メンバーはそれぞれ自身の手元を見ていたり、横を見ていたり、下を向いていたりで、客席へ目を向けることはほとんどなかった。

曲調が、歌詞が、彼らの全てが音楽をやるにあたっての常識や規律なんてものを逸脱している。

そんな光景を目にしたぼくたち観客も、この場所ではモラルと法さえ守っていれば、それ以外に「してはいけないこと」なんて何もないとさえ思えてくるのだ。

普段はどんなにノリノリなロックバンドのライブへ行っても恥ずかしさを忘れることができず静観しているだけのぼくも、この日は気付けば体を大きく横に揺らしていた。

 

自分の人生を俯瞰している凡人へ

常識を重んじる。多数派の進む道を進むことこそが正しくて、それ以外は外道。集団からはみ出せば異端扱いされてしまう。

日本という国で波風を立てず静かに暮らすためにと、大抵の人々が頭の中でそんなことを考える今の時代。

ボーカルの吉田さんが紡ぐ歌詞はそんな現代に息苦しさを感じるぼくらの、心の声を代弁して歌にする。

常に広い目で世の中を静観し続け、人の気持ちを理解し共感し、さらに言語化までしてしまう天才だ。

「やるべきことは分かってる。頭の中にあるプランをただ実行すれば成功する。でも、それができない」

 

彼はインタビューに対して「ダメ人間」として振る舞うことがよくある。

夢を叶える人とそうでない人の違いはたったひとつで、行動を起こすか起こさないかという点だけ。

ただ大抵の人間はそこまでストイックに努力を重ねることができたりはしない。だから、そんな自分をダメ人間だと思い込む。

吉田さんの歌詞は、自分をダメ人間だと思っている人に「ダメなのが大半で、それが普通だから」と救いの手を差し伸べているかのようにも聞こえる。

ステージに立てないぼくらの平凡な人生に希望を与えたかと思えば、本当はどこかで自分が特別じゃないことを理解しているところに変わらない現実を突きつけたりしながら。

 

あるいは大衆の気持ちを代弁して歌うことで、リスナーに「自分よりもダメな奴もいるもんだ」と思わせてくれる。吉田さん自身が踏み台となって。

それがバンドの魅力のひとつであることに変わりはないが、個人的には早稲田大学を卒業している時点で吉田さんをダメ人間だとは思うことは、ない。

 

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不戦勝で登るスターダム

ライブ終了後、ファンの近くにサラッと現れた白いTシャツの吉田さん

トリプルファイヤーというバンドが持つ魅力。

音楽からメッセージを受け取ることに重きを置いて楽しんでいる人にとっては、誰もの日常に起こりうる出来事に寄り添った身近で共感性の強い歌詞が。

バンドとしてのアンサンブルや演奏の技術的な部分に重きを置く人にとっては、巧みなそれが魅力として映るだろう。

あの夜、リキッドルームにいた人たちは大きく2種類に分けることができる。

人生を冷めた目で俯瞰しながら、自分のことを凡人だと認めている人。そして、技術オタクだ。

ぼくは前者で、変わりたいと願いつつも変わらない。ただ平凡な人生を歩む歌詞の主人公に自分を重ねて強く共感を覚えた。

 

トリプルファイヤーは、バンドとしての演奏レベルが異様に高い。メンバーが日々集まってスタジオに篭る姿は用意に想像ができる。

しかし歌詞の内容だけを垣間見てみれば「今日はずっとダラダラしていたけれど、意味のある1日だった。だって銀行に行ったから」

「いつかどこかで人生を変える言葉に出会うから、未来のその日から俺の人生は逆転劇を始めるんだ」

いかにもダメ人間平凡なぼくらが日々頭の中に浮かべている事象ばかりを、似通ったメッセージを曲調を変えながらも当事者として歌い続ける。

口だけ達者で一向に前へ進まない吉田さんの姿を想定させつつも、リキッドルームをほぼ満員にしたトリプルファイヤー。

もしかしたらこのバンドはある意味で全く戦うことなく、頭の中にあるプランを行動に移さないままでスターダムにのし上がってしまうのかもしれない。

脱力感からついおかしさが込み上げてくる歌詞のメッセージは、背後にレベルの高い演奏があってこそ、カッコいい音楽として成り立っている。

彼ら以外の誰もそれを再現することはできないのだ。

日本に生まれた唯一無二の個性を持つロックバンド、トリプルファイヤーは、音楽業界において今まで誰も歩まなかった新しい道に轍を作っていくに違いない。

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いわた (岩橋康太)

いわた (岩橋康太)

プロブロガーとして生きています。就活中、40社受けて内定がゼロだったことをきっかけに新卒で独立した23歳。コーディネートよりも作りを愛でるタイプの洋服オタクです。
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