冬を待ち遠しくすら思わせる、Episode no.,の妖艶なグラデーションニット

ぼくが好きなブランドのほとんどは、ブランド古着となった途端、値段が著しく下がります。
 
定価が40,000円近いニットでも、二次市場なら4,000円に。
販売されてからそれなりに年数が経っていれば当たり前のことですが、それにしても、ぼくが好きなブランドたちは異様なまでに安くなる。
減価償却をするかのような考え方をしてみても、そこまで急に価値が下がることはないよな、と思ってしまう。
 
高い値段で買った服を、二次市場で安く見かけると少しショックなもの。
最近のぼくは、いいんだか悪いんだかiroquoisの店舗にあまり足を運ばなくなってしまいました。
 
たまたまぼくが好きなブランドの服は、そのような評価のされ方をしているだけ。
本当は、どんなブランドよりも服作りにこだわって、圧倒的なまでに高い品質のそれを生み出し続けている。
 
世の中では、それよりも需要の有無で評価されます。
ぼくはたまに、デュエル・マスターズカードを友達とやるのですが、シングルカードの販売価格を見ていると株のようで面白くて。
誰もが強いと認めていて、それゆえ需要のあるカードは、1枚3,000円で売られていたりして。
人気だから、次々と市場から消えていく。それに伴って販売価格は上がっていきます。
 
一方で需要のないカードは1枚30円で売られていたりして。
不人気だから、次々と市場に集まります。それゆえ販売価格は最低ライン。
 
ところが、需要のないカード=弱いとは、必ずしも限らなくて。
多くの人はそう思い込んでいるかもしれませんが、例え需要がなくてもよく見れば、もしくは実際に使ってみると強いカードって、山ほどあるんです。
大きい大会で、そういったカードを入れたデッキはダークホースになり得る。相手が予測していない動きをするから、そのデッキが優勝してしまったりもする。
以降、ずっと安く売られていたカードが評価されはじめて、販売価格が何倍にも跳ね上がることも多々あって。
 
今回ご紹介するブランドのニットも、二次市場においてはそんな存在だとぼくは思っているんです。
その世界において、販売価格が安い服=品質が悪いとは、必ずしも限らない。
 
対象をどう評価するかは、いつだって実際に自分の目で見て確かめる。
本当の意味で強いカードゲーマー。本当の意味で洋服を着ることを楽しめる人は、きっとそんな人たちです。
 

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いちばん探していた”エピソード”がここに。

Episode no., (エピソードナンバー)
ニット作りにおいて非常に高い技術を誇るiroquoisが、ニットだけを作るためだけに立ち上げた本気のブランド。
物語のように、各シーズン毎にガラッと表情を変えるコレクション。1年で春夏と秋冬の2シーズン展開。
 

9から始まったエピソードはシーズンを重ねる毎にカウントダウンされていき、0に達した時点でブランドは終焉を迎える。
残念ながら2015年の秋冬コレクションにて物語は完結し、今となっては存在しない幻のブランドに。
毎シーズン、見る人、着る人の度肝を抜いてきた美しい色柄、高い技術力、その品質。
欲しいものがあれば、二次市場で根気よく探すしか手に入れる方法はありません。
 

これまでにも何着か、着るたびその魅力に魅了されてきたぼくが、いちばん探していた”エピソード”がここに。
2014年、秋冬シーズンにて展開されていたEpisode no.,2より、”BRUSH CABLE”ニット。
 
2色展開されていたうちの、より欲しかったこの色味。
定価は33,000円と消費税。当時、まだ服に興味を持ち始めたばかりだったぼくは、この値段のアウターを買うことはできても、インナーにそこまでのお金を出すことはできませんでした。
4年越しで手に入れた憧れのニット。本当に、ずっと欲しくて探していた。
 

曖昧な境界線と独特のグラデーションに感じる妖艶なオーラ


曖昧な3色のグラデーション。黒、赤、黄色。
どことなく、溶けるようにして交わったその色には妖艶な雰囲気を感じます。それでいて、この色味だからこそ出せるポップさも持っている。
色の境界線がはっきりとしていたなら、ここまでの雰囲気は絶対に出ていなかったでしょう。
カジュアルブランドのアイテムでも、あり得なくはない色味。はっきりとしたボーダー柄なら、よりカジュアルに見えていたはず。
 
2色展開されていたこちらのニット、もうひとつは黒、黄緑、紫で構成されています。
古着っぽさと、大人っぽさと、何より怪しさがプンプンする色味。ちょっと雰囲気がアダルト過ぎて、ぼくにはまだ着こなせそうにありません。
 

寄って眺めてみる。色味の違う糸たちが混じり合って形成する、曖昧な境界線、グラデーション。いつまでも眺めていられます。
 

引きで眺めるとよく分かりますが、編み方はフィッシャーマンニットのそれに近く。立体的な編み模様も魅力のひとつ。
首元の形がしっかりしていて、やや立体的でボリュームがある辺りも、ゆるさを増す要素。
 

素材選びもぬかりなく。抜群の保温性を誇るキッドモヘア


品質表示タグに目を通して驚き。Episode no.,のニットでは、1着を作るためにかなりの種類の糸を使っていることがざらにあります。
ブランドの公式ブログを参考にすると、使用しているのは生後3ヶ月の小山羊からのみ生み出される希少なキッドモヘア。
子供を守るための産毛。それゆえ暖かさは抜群な訳ですが、素晴らしい服を作るためとはいえ、そういった素材を使っていることを知ると少し心が痛む。
そんな背景もあるからは、元々、大量生産はしないEpisode no.,のニットたち。
手元にあるそれらを、ぼくは大切に着ていこうと思います。寒い冬を、ぼくたち人間が暖かく過ごすために与えてくれた、そんな糸を無駄にしないよう。
 
推測するに、キッドモヘアに耐久性を与えるためのナイロン。伸縮性を与えるためのアクリル。
その他、様々な素材を配合しながら糸を紡ぎ、それを使ってニットを編む。
洋服としての実用性を持たせるため、計算して考えられた配合なのでしょう。
ここまで素材にこだわっていれば、そりゃあ定価だって、それなりにする訳だ。大量生産なんて、そもそもできる訳もない。
 

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袖を通せば、存分に空気を含み柔らかく膨らむ


ぼくが手に入れたのは、最大サイズの3。
Episode no.,のニットは他のブランドと比べてサイズ設計が大きめなように感じますが、ただでさえ見かけないそれは、欲しいものなら買ってしまう。
最小サイズの1以外なら買ってしまいます。ものによっては、それでも買ってしまう。
そもそも欲しいデザインのそれに出会えることが滅多にないので、細かいことを気にしていたら、一生着ることはできない気がして。
 
やや厚手。柔らかい素材のお陰で、厚手のニットにありがちなゴワゴワ感を感じることは一切ありません。
それどころか、引っ張れば編み目の隙間から指が覗けるほどには、詰まりすぎていない生地感。重さとストレスはありません。
 
スカスカとも言えないけれど、詰まっているとも言えない。
そんな生地感に少しの不安を抱えながらも、袖を通してみる。空気を存分に含んで、途端に柔らかく膨らんでいく。
 
編み目の適度な隙間が、そうさせる理由のひとつ。暖かいニットの特徴は、生地が空気をたくさん含み保温してくれること。
真冬でも期待に応えてくれそうです。保温性にはとても期待できる。
今から冬がとても楽しみになる。そう思わせてくれる、素敵なニットに出会うことができました。

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いわた

いわた

1994年生まれの24歳。大学在学中にブログを始め、卒業後はブロガーとして独立。主にファッション系の記事を書いています。
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