ダッドスニーカーは混沌のファッション業界を切り裂く光となりうるか


今、”ダッドスニーカー”と呼ばれるスニーカーが流行っていますね。BALENCIAGAのトリプルSというスニーカーが、流行の火付け役でした。
ダッドスニーカーとは、”休日にお父さんが履いているようなスニーカー”を指します。
ソールが分厚くて、ゴテゴテしたシルエットのスニーカー。皆さんの実家にも、実際にお父さんが履いている、そんなフォルムのスニーカーがひとつはあるのではないでしょうか。
 
ソールが厚いと足が疲れにくい。そんなことから、見た目こそゴテゴテしているものの、そういった類のスニーカーはお父さんたちの支持を集めているのだと思います。
 
それも、BALENCIAGAがトリプルSを発売し、他のブランドが真似して一大ムーブメントとなるまでは、お父さんたちが履いているスニーカーも”ダッドスニーカー”とは呼ばれていなかったはず。
トリプルS、見れば見るほど、格好いいなと思わせるようなフォルムとデザイン性。
最初こそ「こんなボテッとしたスニーカーのどこが・・・」と思っていましたが、かなり計算して作られた背景を想像できます。
 
数年前、”モードストリート”という言葉を爆発的に流行らせたと言っても過言ではない、VETEMENTS (ヴェトモン)
そのデザイナーであるデムナ・ヴァザリアがBALENCIAGAのデザイナーに就任してからの勢いは、止まるところを知りません。
今回のトリプルS、そしてダッドスニーカーの一大ムーブメントを起こした張本人も、デムナ・ヴァザリア。
 
こうしてダッドスニーカーが爆発的に流行るまでの過程、そして今年の秋冬における、ダッドスニーカーの重要性に関しても考察してみたいと思います。
 

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ギークスタイルの膨張化。流行のキーワードは常に”反動”

4~5年前、Off-White (オフホワイト)がストリートファッションを盛り上げる。
日本でも影響力のあるミュージシャン達がこぞってモードブランドとストリートブランドを組み合わせたコーディネートを披露し、”モードストリート”の大旋風が巻き起こりました。
えげつなく細いスキニーパンツに、ラペルの細いジャケットを着てオールブラックコーディネート。
定番のモードファッションから、そこにOff-Whiteをはじめとした派手なデザインが特徴的なストリートブランドを混ぜ合わせた”モードストリート”の登場。
それがピークを迎えた後で、”シンプルだけどいいものを着たい”を合言葉に流行したのは、ノームコア。
 
シンプルなファッションは汎用性こそ高いものの、第一線の流行であった時期は非常に短く。ノームコアから一転して、80年代リバイバルと共に”ギークファッション”が主流へ。
これは今でもGosha Rubchinskiyが体現していますが、日本で例えるならメンズノンノをさらに過激にしたような世界観がそこには広がっていて。
パッと見、めちゃくちゃ”モブ”なコーディネート。これは格好いいのか、ダサいのか、よくわからない。
ぼくにとって、メンズノンノってそういう雑誌なのでした。ぼくの感性で読むと「これ、ぼくは格好いいと思わないな・・・。でも、これが世間では支持されているのかな?」
そう思うようなコーディネートがたくさん載っている雑誌。
 
ただ、そこに載っている格好いいコーディネートは、どんな雑誌のそれよりも抜群に格好いい。
おしゃれとダサいは紙一重。そんなことを感じさせてくれる雑誌がメンズノンノだと思っています。
 
”モブ”な見た目のギークファッション。
それが世間に残した爪痕は大きい。人々は今までダサいと思っていたものが一躍、メインストリームとなるまでを見て、「もはや、おしゃれとは何なのかが分からない」
そう思っているのではないでしょうか。かなり混沌としたタイミングだと、個人的にぼくは思っています。
これも全て、前に流行ったスタイルへの反動を繰り返しながら進んできた世間の話。流行のキーワードは常に”反動”なのだと思っています。
 

誰もが”自分で決める”必要のある世の中へ

モードストリートから、ギークファッションに至るまで何でもあり。それらが混ざったようなコーディネートを、デザイナーズブランドも発表し続ける。
ひと昔と違って雑誌だけでなく、ウェブメディアや個人のインフルエンサーまでもが影響力を持つ時代。選択肢が増えすぎて、ひとつの対象には注目が集まりにくくなった時代。
だから、これといった”メインストリーム”って、少し前に比べても今はないように思っています。
「皆と一緒が格好いい」今までそう思っていた人たちも、自分で自分が格好いいと思うものを選ばなくてはいけない時代。
 

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2018年、ダッドスニーカーは春夏よりも秋冬で流行る予感

そんな混沌の時代に、専攻の如く現れたBALENCIAGAのスニーカー、トリプルS。これが流行に敏感なファッショニスタ達を、一斉に同じ方向へと向かせました。
そうして起こった一大ムーブメント。コーディネートは自分次第なこの時代に、単体で爆発的な注目を集める”ダッドスニーカー”
今も十分、物凄い注目を集めているそのアイテムは、まだまだ勢いを持ったまま支持されていくと思っていて。
というのも、このアイテムの魅力が最大限に光るのは、春夏よりも秋冬だと予想しています。
 
モードストリートが主流となった頃から、コーディネートの形としてはYラインシルエットがずっと大人気。
まさにY字の如く、上半身にボリュームを持たせて下半身を細めのコーディネートにすることで、シルエットバランス的に格好よく見えるというもの。
 
トップスにはビッグシルエットのアイテムを。ボトムスには鉄板の黒いスキニーパンツ。
秋冬になれば、そこにアウターを足して更にボリュームを増した、そんなコーディネートを見かけました。
2018年秋冬、足元にダッドスニーカーをプラスして。味気なかった下半身そして足元にボリュームを持たせ、もうひと味加えることができる画期的なアイテムの登場です。
 
コーディネート全体のシルエットを見たとき、よりメリハリを感じることができる。トップス、ボトムス、足元の順にボン・キュッ・ボン。
女性の体が持つシルエットは神秘的だとされているように、芸術的なシルエットをしたギターがそれをモチーフに作られているように。
ダッドスニーカーの登場によって、人間が美しいと思うフォルムをファッションでも再現しやすくなったのです。
そんな法則があるのだから、秋冬にダッドスニーカーが流行らない理由はまずないと思うんです。
 
モードストリートブームで勢いをつけたビッグシルエットのトップス。ギークファッションの波に乗って支持を得たワイドシルエットのボトムス。
何でもありの現代。ビッグシルエットのトップスにワイドシルエットのボトムス、足元にダッドスニーカーを合わせた、土管のようなIシルエットだって存在する。
今年の冬が訪れる頃、ダッドスニーカーはそんな混沌の世界を切り裂くアイテムとして光り輝くのでしょうか。
そのシルエットの真骨頂が発揮される季節、街を歩く人々のファッションがどう変化するのか、とても楽しみです。

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いわた

いわた

1994年生まれの24歳。大学在学中にブログを始め、卒業後はブロガーとして独立。主にファッション系の記事を書いています。
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